コールドゲームは望まない

ゲームセット

今日の兵庫県西宮市の最高気温は三十七度。雲ひとつない快晴で、地上を照らす太陽がジリジリと肌を焦がす。地元の球場とは比べ物にならないほどの人員の数に内心高まるも、表情に出すことはしない。先輩は、格好つけたくなる生き物だからだ。「部長。これも吹…

第四試合 先輩vs後輩②

午前は個人競技中心に行われた。皆、応援席から気だるげに観戦している。球場とはまるっきり正反対の気の抜けようだが、日の暑さから士気が高まらないので仕方ない。ただ一人、楽斗原くんだけは楽しそうに声を上げていた。昼休み休憩を挟み、私たち応援団は準…

第四試合 先輩vs後輩①

始業式が開始する。ただでさえ連休明けで気が滅入るのに、今日は四十度超えとさらに追い討ちをかけられていた。皆、ゾンビのようにフラフラした足取りで学校に向かっている。校門前では、生徒指導員による制服チェックが行われていた。頭髪のカラーやスカート…

第三試合 現実vs夢②

テスト週間に入っていることで、基本的に部活動は停止と言われている。だが、大会の重なるこの時期は、もはやそんな規則はあってないようなものだった。吹奏楽部も、コンクールまで一ヶ月切っていることから自主練は許可されており、普段通りに教室を利用する…

第三試合 現実vs夢①

高校野球の夏の地方大会は、開会式から連日行われる。平日はもちろん授業があるが、全国大会の予選であるだけ、野球部の人たちは公認欠席扱いになっていた。だが、当然だが吹奏楽部は対象外だ。その為、応援に参加できるのは、休日の被る四回戦からだった。私…

第二試合 夏vs自分②

「翔吏、すごいじゃん」次の日、教室に着いて開口一番、前座席に声をかける。「何が?」翔吏は目を丸くして問う。「ベンチ入りしたんでしょ。うちで渡された応援のプリントに名前、あったからさ」そう言うと、翔吏は口角を上げて得意げな顔をする。「あぁ、そ…

第二試合 夏vs自分①

次の日の早朝五時。私は地元の川辺を走っていた。昨日、楽器を所持して改めて体力が重要だと痛感した。今までは演奏と体力作りの繋がりが感じられず、陰で休んだりと情けない行動を取っていた。だらしない過去の自分に恥ずかしくなる。昨夜の翔吏との会話から…

プレーボール

快音が鳴り響くたびに喚声が上がった。情動を掻き立てるアナウンサーの実況や、蒼天に響き渡るブラスバンドの楽音が、清夏を謳歌する球場をより一層盛り立てている。グラウンドに立つ選手や監督、声援を送る応援団、熱い解説者、そして四万人を超える観客全員…