人間裏街道

第一部③

渡されたものはメガネだった。蝶番がなく、テンプル部分が太目なので、スポーツ用の型に見える。レンズ部分がサングラスのように黒くなっていた。「しばらくこれをかけておけ。目が白いと、色々面倒なことが起こる」青年は淡々と告げる。「裏街道の住民は、み…

第一部②

出た先は、先ほど窓から確認した通りに、私の部屋だった。むあっとした湿気を帯びた空気が充満していて、身体にはりつく。裏の世界との明度の差に慣れず、目を細めた。後ろを向くと鏡があり、鏡面にはメイの顔が見えた。彼は、にこっと笑って手を振る。私は軽…

第一部①

目を覚ますと、暗闇が広がっていた。身体を起こして辺りを見回すが、暗くて何も見えない。目が慣れていないものかと思ったが、しばらくしても何も見えない。物音ひとつすらしない。もしかしたら、この空間には元々何もないのかもしれない。恐怖がこみ上げてき…

序②

いつの間にか雨が上がっていた。狐の嫁入りかな、そう空を見上げながら、ジメジメとした湿気の立ち込める中、足を進める。日差しが強くて目を細める。葉についた水滴が光に反射して、より一層眩しく感じた。暑い、ジメジメする、眩しい、しんどい、遠い。次々…

序①

あぁ、死んでしまおう。珍しく雨だな、と外を眺めながらふと思った。真夏ということもあり、湿気が通常よりも鬱陶しく身体にまとわりつく。クーラーのリモコンを手に取り、設定温度を少し下げた。何か情報が欲しい時は、ひとまず検索エンジンを利用してきた現…