開花時期は来月です

一月【睦月 赤夜】➅

「よし。ちゃんと出しておくな」担任は、睦月から願書を受け取ると、力強く頷いた。「よろしくお願いします!」睦はそう言うと、パンッと手を鳴らして先生を拝み始めた。「先生を拝むな」「オレの人生がかかってんだ! 頼む!」苦笑する担任の言葉も聞かずに…

一月【睦月 赤夜】➄

「先生に判定結果を報告してないの?」数時間後、家庭教師の女性が帰宅し、睦月が外に出たタイミングで、リンは思わず声をかけていた。彼は、昨日確認した時よりも雑草が増えていた。未練となる要素が増えたことを表している。家から出てきた睦月は、「アカガ…

一月【睦月 赤夜】④

一月十四日。開花予定日四日前となると、死神は自由に開花のタイミングを選択することができる。風呂上りが一番清潔であれば、洗浄した野菜が一番新鮮であるもの。開花のタイミングを操ることができることからも、質の一番良い状態である手入れの済んだ直後に…

一月【睦月 赤夜】③

体育館内は緩慢な空気が流れていた。校長の中身の無い長い挨拶と、体育館の暖房の無いこの場所から、生徒たちは皆、肩を縮こませ、手を揉み苦痛を耐えていた。ある意味、拷問に近いかもしれない。そんな朝礼も終え、生徒たちは小さく息を吐きながら教室に戻る…

一月【睦月 赤夜】②

次の日、リンたちは対象の観察の為に、再び赤森中学校に来ていた。夏休みの課題であさがおの観察日記が出されるように、花は日に日に成長する。そして天候や水分の有無で雑草が芽生えたりする。花の観察は、管理者としては基本中の基本だった。「この漫画、お…

一月【睦月 赤夜】①

「すっげぇ〜〜赤色だな!」閑散とした教室内、リンの目前に座る睦月 赤夜(ムツキ アカヤ)は、目を輝かせて言う。短髪の柔らかい髪は跳ね、真冬であるのに学ランのボタンは全開だった。興奮からか頬が赤く、身体は前のめりになっていた。「赤髪ってかっけ…

〇月②

しんしんと音も無く降り注ぐ。綿のように空気を孕んだ白雪は、たちまち辺りに広がり、無垢な絨毯となり変わる。一年で最も起きている人が多いであろう長夜に舞う白は、まるで新年を祝福するかのようだった。冬季だけ見られる自然現象であり、特に都会である虹…

〇月①

ジャラジャラと小銭が賽銭箱に投げ入れられ、ガランガランと鈴の音が鳴る。遅れてパンパンと拍子音が響くとしばらく間があり、再び金の音へと繰り返される。パチパチと燃える焚火の周囲には人々が暖を取っていた。舞う火の粉が天から降り注ぐ雪と融合し、じゅ…