今まで私、北野哀は、観測者として全体を俯瞰する位置に立つ必要があった。
より多くの情報を得る為に、
より正確な予報をする為に、
そして、観測地点の中立的存在である為に。
観測地点で晴れの顔が見られるたびに観測者の心までもが晴れ、予報士冥利に尽きるというものだった。
だがそれも、今の私では不適合だ。
偏った観測地点のみの予報をするのは平等性にかけてしまう。
そこで私は、表明する。
私は観測者という肩書きを捨てることにする。
観測者であるが故に、私自身変化していることに気付けていなかったのだ。
揺れの激しい自身を基準にしては、正確なデータを把握することができなければ、偏った地点のみしか見ることができない。名乗ることすら恐れ多い。
とは言うものの、基本的に私は観測するのが好きだ。今まで通り周囲の晴れの顔を願っている。
しかし、ひとつ予報できること。
大きな天災の後は、より一層地盤が固まり、安定していくものだということだ。
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