気まぐれ天気、恋予報。

Day0

新年が始まる。哀たちの初詣は毎年、近所の藍川稲荷神社だったが、今年は地元から離れた天満宮に姿があった。すでに受験は済んでいるものの、「学問の神様」に合格報告に訪れたようだ。「三年振りか」奏多は大きな鳥居を見ながら呟く。「だね。奏多は高校受験…

Day9「春一番が吹き、寒暖差に注意です」③

蓮の部屋をノックすると、扉が開かれる。「え、哀、早……」蓮は少し驚いた顔で言う。「返信するより、会いに行った方が早いかなって……」私は恥ずかしくなって下を向く。蓮はしばらく頭を掻くと、やがてドアを大きく開けて向かい入れてくれる。室内に入ると…

Day9「春一番が吹き、寒暖差に注意です」②

「これはまたひとつ、おもしろい情報仕入れたもんだ」祐介は顎に手を当てながら笑う。「ちょっと祐介……! いつからそこにいたのよ!」渚は冷や汗を流しながら問い詰める。もはや愚痴と呼べる言葉を吐いた瞬間、その本人が現れたのだから妥当の反応ではある…

Day9「春一番が吹き、寒暖差に注意です」①

「はい、上がり」蓮は、手に持った一枚のカードを山場に出すと、両手を軽く振った。「ふざけないで! 何でまた蓮が一位上がりなのよ! 絶対何か、イカサマしてるでしょ!」渚は猛反論する。その手には、両手で支えなければいけないほどに大量の手札が握られ…

《《 予報士引退のお知らせ 》》

今まで私、北野哀は、観測者として全体を俯瞰する位置に立つ必要があった。より多くの情報を得る為に、より正確な予報をする為に、そして、観測地点の中立的存在である為に。観測地点で晴れの顔が見られるたびに観測者の心までもが晴れ、予報士冥利に尽きると…