エピローグ
「ついに、アニメ化だってよ」とある午後の昼下がり。ゼンゼは漫画雑誌片手に愉快気に嗤う。「とんだ上級に化けたもんだ。こいつ自身も、めげない根性はあったんだな」「あのときに延期にしたのは、正解だったようね」隣に座るリンは、手の平を天に翳して、花…
○○からのオクリモノ
8【冬森 柚葉】④
「瓶」ゼンゼは、手を出して乱暴に言う。リンは、腰のポシェットを漁り、無言で彼に渡す。ゼンゼは咥えていた花を瓶に入れると、ラベルに「種名:冬森柚葉 ランク:A」と文字が浮かび上がった。「質がひとつ、落ちちまったな」ゼンゼはそう呟くと、瓶を丸の…
○○からのオクリモノ
8【冬森 柚葉】③
冬森はコンビニ内でコーヒーを購入すると、外で嗜む。リンは店員が見ていない隙に、勝手にコーヒーをカップに注ぐと、同じくコンビニ外に出て彼女に近づいた。彼女の人当たりの良い性格からも、多少強引に接近しても受け入れられると踏んでの行動だった。リン…
○○からのオクリモノ
8【冬森 柚葉】②
次の日の夕方。二人の姿は虹ノ宮市の駅内にあった。休日ということで、駅周辺は家族や友人グループの姿で溢れ、列車が到着するたびに改札は人で流れる。駅改札前の窓枠に腰掛けているリンは、縦横無尽に人がうごめく足元を見下ろして顔をしかめる。「人がゴミ…
○○からのオクリモノ
8【冬森 柚葉】①
身を刺すほどの冷風が街に吹く。その度に待ちゆく人は、マフラーに顔を埋めて足早に歩く。十二月も明日に迫ったことで、虹ノ宮市にも冬が訪れていた。駅前の歩道には、赤や緑の装飾が施され、壁にはギラギラ輝く電飾が施されている。屋根のついた商店街に入る…
○○からのオクリモノ
7【雪村 冬馬】④
「次、生まれ変わるなら、今度はみんなと同じ立ち位置から人生を始めたいなぁ」僕は、とうとう本音を漏らす。周囲から同情されるのが嫌で、愛想笑いが癖になっていた僕にとっては、もはや観念したと言ってもいいだろう。脈絡なく話していた僕を少女はしばらく…
○○からのオクリモノ
7【雪村 冬馬】③
校門前には、送迎専用の待機所が備わり、迎えを待つ生徒で溢れている。敷地内に入ってくる送迎車は高級メーカーのものばかりで、ステータスの高さが窺える。高級車が並ぶ光景も、満更でもなさそうな生徒の表情も、ここまで来ると、マウントの取り合いのように…
○○からのオクリモノ
7【雪村 冬馬】②
「いまだに信じられないな」僕は目前にそびえたつ立派な建物を見ながら声を漏らす。「何が信じられないのかしら」隣に立つ少女は、正面を向いたまま反応する。「だって僕は、自分の足で、病院を抜け出している」僕は今、十年以上いる病室から出ていた。外はと…
○○からのオクリモノ
7【雪村 冬馬】①
冬だなぁ、と窓の外に広がる真っ白な絨毯を見ながら僕は思う。それと同時に、そういや大雪になるって言ってたっけ、と昨晩見た天気予報を思い出した。十月のハロウィンからクリスマス、大晦日、お正月、節分、と秋から冬の期間は行事が増える。ただ、ほとんど…
○○からのオクリモノ
6【秋月 梨斗】④
開花予定日が明日と迫る。以前と変わらずに使用禁止されている赤森中学校の屋上内。そんな場所で、リンたちはともかく、一人の人間の姿があった。「おまえら、死神か?」屋上の柵前で黄昏れている少年、秋月は、リンたちに気づくと単刀直入に尋ねる。唐突な質…
○○からのオクリモノ
6【秋月 梨斗】③
「あなたの未練は、何ですか?」真剣な声で問う。突然デリケートな部分に触れるも、秋月は動揺の色を見せない。それだけ、彼女たちの発言からは、重みが感じられた。「……それを言ったところで、あいつが帰ってくるわけでもねぇ」秋月は低い声で答える。「林…
○○からのオクリモノ
6【秋月 梨斗】②
「むしろ今回は、あなたが適任だわ」「俺が適任?」ゼンゼは目を丸くして、彼女に振り向く。「あなた、この漫画のキャラクターにそっくりなのよ」そう言って、リンは一冊の漫画を取り出す。タイトルは『エンド』。短い学ランを着用して仁王立ちしている、いか…
○○からのオクリモノ