Day0
新年が始まる。哀たちの初詣は毎年、近所の藍川稲荷神社だったが、今年は地元から離れた天満宮に姿があった。すでに受験は済んでいるものの、「学問の神様」に合格報告に訪れたようだ。「三年振りか」奏多は大きな鳥居を見ながら呟く。「だね。奏多は高校受験…
気まぐれ天気、恋予報。
Day10「にわか雨の後は各地で虹が見られるかもしれません」③
「まぁでもあたしも明日はリンくんにご馳走してもらうんだよね」渚は上機嫌に語る。「マネージャーさんと?」私は驚いて問う。「うん。いつも仕事頑張ってるからってさ。ちょっといいところ連れてってくれるんだって」渚は頬に手を当てながら説明する。私と蓮…
気まぐれ天気、恋予報。
Day10「にわか雨の後は各地で虹が見られるかもしれません」②
(admaxads = window.admaxads || []).push({admax_id: "7a1958bb0adb0e601fbc8290527f5cd1",type: "switch"});私たち三年生は、十二月のこの時期に…
気まぐれ天気、恋予報。
Day10「にわか雨の後は各地で虹が見られるかもしれません」①
飛行機の到着を知らせる放送や、金属探知機の反応する音が響く。荷物を運ぶ車輪がゴロゴロと鳴り、あちこちから多言語で話す声が聞こえる。荷物計量器やモニター、航空券印刷機、荷物を機内に送るベルトコンベアー、広いカウンターがあり、キャリーケースを所…
気まぐれ天気、恋予報。
Day9「春一番が吹き、寒暖差に注意です」③
蓮の部屋をノックすると、扉が開かれる。「え、哀、早……」蓮は少し驚いた顔で言う。「返信するより、会いに行った方が早いかなって……」私は恥ずかしくなって下を向く。蓮はしばらく頭を掻くと、やがてドアを大きく開けて向かい入れてくれる。室内に入ると…
気まぐれ天気、恋予報。
Day9「春一番が吹き、寒暖差に注意です」②
「これはまたひとつ、おもしろい情報仕入れたもんだ」祐介は顎に手を当てながら笑う。「ちょっと祐介……! いつからそこにいたのよ!」渚は冷や汗を流しながら問い詰める。もはや愚痴と呼べる言葉を吐いた瞬間、その本人が現れたのだから妥当の反応ではある…
気まぐれ天気、恋予報。
Day9「春一番が吹き、寒暖差に注意です」①
「はい、上がり」蓮は、手に持った一枚のカードを山場に出すと、両手を軽く振った。「ふざけないで! 何でまた蓮が一位上がりなのよ! 絶対何か、イカサマしてるでしょ!」渚は猛反論する。その手には、両手で支えなければいけないほどに大量の手札が握られ…
気まぐれ天気、恋予報。
《《 予報士引退のお知らせ 》》
今まで私、北野哀は、観測者として全体を俯瞰する位置に立つ必要があった。より多くの情報を得る為に、より正確な予報をする為に、そして、観測地点の中立的存在である為に。観測地点で晴れの顔が見られるたびに観測者の心までもが晴れ、予報士冥利に尽きると…
気まぐれ天気、恋予報。
Day8「今夜は吹雪となる為、極力外出は控えましょう」②
「正直今でも悩んでる。でも地元が遠くないのにわざわざ寮に入れてもらえたからな……だから、俺は行くよ」蓮は力強く宣言する。その声には決意が感じられ、私も祐介も無意識に口角が上がる。「却下!」「はい?」突如、響いた声に目を丸くする。声の発生源へ…
気まぐれ天気、恋予報。
Day8「今夜は吹雪となる為、極力外出は控えましょう」①
私たちの視線は、部屋隅に置かれている大型のキャリーバッグに目がいっていた。蓮の部屋は元々物が少ない。先日訪れた時は確実になかったはずだ。帰省時すらリュックひとつである彼が、子ども一人入れるほどの大型キャリーバッグを所持していることに違和感を…
気まぐれ天気、恋予報。
Day7「記録的な大雨で土砂災害の恐れがあります」②
瑛一郎の部屋を後にして、自室に戻っていた。渚の元に向かうか迷ったが、今はひとまず休みたい。正直色々なことが起こり過ぎて、情けなくも頭がついていけてなかった。幸い今日は土曜日で明日も一日休みだ。月曜日までには何とかいつもの日常に戻りたいものだ…
気まぐれ天気、恋予報。
Day7「記録的な大雨で土砂災害の恐れがあります」①
二年男子寮から退出し、私の部屋に避難していた。美子は、いまだ肩を震わせて涙を流している。当然だ。普段何ごとにも動じずに落ち着いた態度の兄が、いきなり豹変して人を殴ったのだから怖いに決まっている。私でさえ恐怖を感じたのだから、常に隣にいた美子…
気まぐれ天気、恋予報。