5時間目:歴史2
次の日。春明の姿は、虹ノ宮藍河区某所にあった。木製の門の奥には、広い平屋と庭が広がる。石畳に大きな井戸、玄関には『浄化隊』と記載された旗が掲げられていた。「やっぱ、春明には敵わねーかぁ」平屋縁側で息をつく青年、松風 早天(マツカゼ ハヤテ)…
夢現の恋蛍
5時間目:歴史1
「神」という存在は、己の使命を果たす為に存在する。太陽神は、街を照らす為に。豊作の神は、穀物を実らせる為に。死神は、生命を廻す為に。全ては、均衡が保たれている。その為、バランスを崩すような行動を取る問題児は、すぐに消える。増してや、個人を尊…
夢現の恋蛍
昼休み3
「邪魔だ!」環は尻尾を振る。だが東は全く動じず、環に近づく。八つ裂きにするつもりで振り回しているはずなのに、東にかすり傷すら負わせられないことに環は違和感を抱く。「攻撃が、当たらない……?」突如、圧迫感を感じた。東は西久保の身体を力強く抱き…
夢現の恋蛍
昼休み2
莉世の父親、秋晴(アキハル)は覚悟を決めた。環の物の怪の浄化もほぼ終えた。そのタイミングで大元の開放。決戦の時が来た。秋晴は僅かに口角を上げる。その顔には高揚感が滲んでいた。この一年以上、妻の復讐の為だけに生きていた。環を見張っていた鬼神も…
夢現の恋蛍
昼休み1
ざぁざぁ雨はきつくなる。だが西久保は、傘も差さずに湿気た森を堂々とした足取りで歩く。雨で制服は濡れ、着心地は最悪だが、彼女の意思とは対照的に身体は動く。(何で……何で勝手に動くのよ……!)西久保は、心の中で混乱した。何者かに身体を操縦されて…
夢現の恋蛍
4時間目:保健体育8
藍河稲荷神社境内、封印の社へ辿り着く。社内は、中央の広い部屋に呪石が収容され、奥の部屋にはソファやキッチン、ベッドなどが備わっている。環を見張る為に、この社内だけで生活できる設備が整えられていた。主に鬼神たちが人型になった時に使われていたよ…
夢現の恋蛍
4時間目:保健体育7
北条は環の後を追おうとするが、身体がつんのめる。纏っている『水月』が、北条の行動を引き止めた。「今は環ではない。彼女の目的はわかったでしょう」水月は、自分の口を借りて口にする。「なら、今やることは決まったはずです」水月は、北条家が憑依で使役…
夢現の恋蛍
4時間目:保健体育6
話を終え、東は帰宅した。父親が話してくれたことで、莉世の中で安心感が生まれた。それに、昔活躍した陰陽師の生まれ変わりだなんて、父親がさらに特別な存在に思えて誇らしい。風呂や夕食を終えて部屋に戻ると、スマホにメッセージが届く。学校には持参でき…
夢現の恋蛍
4時間目:保健体育5
「莉世」はっと正気に戻る。顔を上げると、父親と東が不安気な顔で自分を見ていた。「ママって……環に殺されたの…………? だ、だってあの時は、建物が崩壊して……」「あれは環の生み出した物の怪によるものだった」父親は感情を殺して答える。「で、でも…
夢現の恋蛍
4時間目:保健体育4
「おかえり」帰宅すると、祖母は普段通りに出迎える。夕食の準備をしているようで、キッチンから煮物のようなダシの香りが届く。「おばあちゃん」「おや、今日はパパだけでなく、お客さんもいらっしゃるようだね」そう言って祖母は、莉世の後ろにいる東に視線…
夢現の恋蛍
4時間目:保健体育3
「さっさと動かねぇとだめだろ。それだけ環がやばいやつならよ」知らぬが仏なのだろうか。口ではそう言いながらも実際東には怪異が見えていない。環によって怪我を負った日向の姿が見えていないから、現実が見えていないから、無謀だと思う行動をとる勇気が出…
夢現の恋蛍
4時間目:保健体育2
普段よりも遅れて学校へ向かう。時間ギリギリに登校する生徒が多いようで、下駄箱は少し混雑していた。授業開始五分前のベルが鳴る。莉世は人の隙間を縫い、慌てて教室へ向かった。教室扉を開くと、いつもはすぐに目に飛び込んでくる光景に違和感を抱く。北条…
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