夢現の恋蛍

4時間目:保健体育1

視界は暗い。周囲を見回すも、何も見えない。何も聞こえない。これは、悪夢だろうか。これは、現実だろうか。私は、目を閉じているのだろうか。もうとっくに、「現実」を受け入れる覚悟は決めたはずなのに――――。「すごい! ホタルだ!」突如、無邪気で明…

3時間目:地理6

「莉世、ちゃん……」目の錯覚だろうか。北条が莉世に重なるように顔を近づけていた。背後だからわからないが、キスをしていてもおかしくない距離感だった。西久保は、神社から逃げるように家路に向かう。気付けば駆け足になった。「北条って……もしかして……

3時間目:地理5

時刻は、丑三つ時。「うぅ……やだ……やだよ…………」少女は、悪夢にうなされていた。春明は、うなされる娘の頭を撫でて落ち着かせる。「一人にしないで…………死んじゃやだよ…………」娘は、悲しそうに口にする。その目には涙が浮かぶ。春明は、悔しそう…

3時間目:地理4

風呂を済ませた後、自室へと戻る。いまだ新品の香りのする机の上に、授業では使用していないまっさらなノートを広げた。入学式から約二ヶ月。怪異を信じていなかった人間が、怪異を浄化するまでに至った。あまりにも情報が多いことから、授業の復習をするよう…

3時間目:地理3

西久保は、神隠しでの一件以降、狐面の少年のことが気になっていた。その正体は、怪異を身に纏った北条だった。元々北条は、美形の顔立ちに大人っぽく、極めつけにこの街を代表する神社が家だ。顔と家柄が良く、頭も良い。さらにけた外れた身体能力を所持する…

3時間目:地理2

――――――――――――――――――――視界は、暗い。湿気の帯びた雑草の青臭い香りが鼻孔を擽る。ドボンッと石の深く沈むような音がする。水辺だとわかるが、川のように流水音はしなければ、海のように波の音も聞こえない。ここは、池か沼だろうか。「ば…

3時間目:地理1

テストも終了し、皆本格的に浄化に臨む心持になった。とはいうものの、基本的に莉世が悪夢を見ることで活動は始まる。その為、夢を見ていない間は普段と変わらない毎日を送った。今日も、放課後の特訓を終え、神社を後にする。「北条ってよ、現場じゃ何の役目…

中間休み7

時刻は、午後六時〇分。近くの時計台の鐘の音が響いたことで、今日も特訓を終えた。「じゃ、次はテスト終わってからだな。検討を祈るぜおまえら」つっても学校で会うけどよ、と東は言う。「テストが危ないのはあんただけだっつうの」西久保は言う。明日からの…

中間休み6

時刻は、午後六時三十五分。春明は、日の沈んだ帰宅路を歩きながら思考する。妙に嫌な予感がした。せっかくの連休であるにも関わらず、相変わらず作業漬けである為、大事な娘と時間を過ごすことができていない。春明は、娘に自分の仕事を伝えていなかった。少…

中間休み5

「じゃ、俺ら行くわ。あとは自由に」「はい。ありがとうございました」片付けも終わり、バーベキューは終了となる。東兄たちは、バーベキューセットを手に持つと、車へと向かった。「大学生って楽しそうだよね~」西久保は東兄たちの背中を見ながら言う。「門…

中間休み4

授業終了のベルが鳴る。クラスメイトたちは、昼食を取る為に各々準備を始める。前座席の東と西久保は、菓子パンの入った袋を机に出すなり、莉世たちの方を向く。席替えが行われて以降、四人で昼食を取ることが日常となった。「そういやさ、ずっと気になってた…

中間休み3

時刻は、午後六時〇分。近くの時計台の鐘の音が響いたことで、今日の特訓を終えた。神社を後にし、莉世は東と西久保の二人とわかれ道まで歩く。「あ〜くっそ。脚だりぃ」東は、太ももを擦りながら言う。「鬼神の攻撃、避けてたよね。見えてたんじゃん?」西久…