第三セメスター:六月⑤
浮かれていたのは、私も同じなのかもしれない。 四杯目に口をつけた時、目の前がクラクラして視界が定まらなくなる。ちょうど月夜が戻ってきたタイミングで、あ、これやばいとなり、トイレに駆け込んだ。 間一髪、込み上げてきたものを便器内に吐き出す。…
星降る夜のキャンパス
第三セメスター:六月④
「天草って、成人してたんだ」 席まで戻ってきた天草は、ジョッキでビールを飲んでいた。 天草は言いづらそうに顔を歪める。その隣で、この場で唯一誕生日を迎えていない金城が、ジンジャーエールを飲みながら彼を指差す。「こいつ、俺らより年齢ひとつ上だ…
星降る夜のキャンパス
第三セメスター:六月➂
久し振りに飲み会があった。特に何かの記念でもないが、「同期だけの飲み会って今までやったことなかったろ」と天草が計画したものだ。 最近は、こういう部活動などの飲み会も土屋さんは嫉妬する。だが、さすがに私も折れる気はなかったので、彼を説得して…
星降る夜のキャンパス
第三セメスター:六月➁
この日は、週に一回設けられた手術日なので、待合室には私たち以外誰もいない。 受付をすると、すぐに名前が呼ばれた。「頑張って」 土屋さんは、優しく笑う。普段の彼は、本当に大人なのにな、と内心思う。 私は、軽く手を上げると、診察室に入った。「…
星降る夜のキャンパス
第三セメスター:六月➀
目先で金城と水谷さんが、手を繋いで歩いている。その姿は、付き合いたての幸せカップルのように見える。少なくとも水谷さんの方は。 ここは、大学のキャンパス内。 高校生までの間は、異性と話すだけで周りに噂される、だなんてこともありがちだが、大学…
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第三セメスター:五月⑤
病院に入る。開院したばかりなのに、すでに五、六人の患者が待合室にいた。全員女性だ。 居心地悪そうにしている土屋さんを気遣う余裕も今はない。 昨日の今日。駅近くの病院で、もちろん予約が取れなかったので、ずいぶん待たされた。 二時間ほど経った…
星降る夜のキャンパス
第三セメスター:五月④
不安になっていたことが的中した。 生理が来ない。 周期的にもう来てるはずだが、生理前の胸の張りやメンタルの上下もなく、生理が来る予兆もない。 私は、今まで基本的に生理がズレることはなかったので、明らかに異常だ。 思い当たる点は、ひとつだけ…
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第三セメスター:五月➂
「あれ、何で倉木がいるの?」 人の声で騒がしい大教室内。 目前の金城は、私を見て目を丸くした。 私は、よっと何食わぬ顔で軽く手を上げる。「この講義受けてみたいってよ。マジメだよな」 天草は、半笑いながら説明する。バカにされているようにしか聞…
星降る夜のキャンパス
第三セメスター:五月➁
月夜と水谷さんの件が起こってから二週間。 月夜は、講義には出席しているが、部活動は休んでいた。少し休みたい、と彼女から火野さんに伝えたらしい。 連休明けの部活。 部室に入ると、一瞬周囲の視線が私に向いた。そして気まずそうに目をそらす。私…
星降る夜のキャンパス
第三セメスター:五月➀
明日からゴールデンウィーク。そして五月三日は、私の誕生日でもある。 連休と重なり、どこも混雑が予想されることから、特別外出しなくて良いと事前に伝えたので、先週にテーマパークに行った。 その為、誕生日当日は特に何か希望していなかった。曜日的…
星降る夜のキャンパス
第三セメスター:四月⑥
部室でミーティング待ち中。珍しく金城が一人で部室まできた。「水谷さんは?」 冗談めく尋ねると、金城は、一瞬怪訝な表情になるも、「別に俺は、あいつのお守りじゃない」と肩を竦めた。 金城は、私の隣に座る月夜に目を映すと、「あ、地咲あのさ」と話…
星降る夜のキャンパス
第三セメスター:四月⑤
「メンヘラだね」 水曜日の午後、ファストフード店内。 隣に座る土屋さんは、ポテトをつまみながら断言した。 私は、部活動中のことを話していた。いや、むしろ毎回土屋さんが聞いてくるので、報告に近いかもしれない。「承認要求が強くて、自分を認めて…
星降る夜のキャンパス