第一セメスター:六月➀
土屋さんが好きだと自覚して、一番最初に感じたことが、「ずるい」だった。 だって、そうだろう。私の名前が「空」だと知ってからは、名前呼び、それに有志観望会の時には………。 土屋さんは、「先輩」という立場を利用して、自分への好意の感じる後輩に…
星降る夜のキャンパス
第一セメスター:五月➄
数時間後、山頂に辿り着く。 外灯は無く、車のライトを消すと、視界が真っ暗になるほどだった。 他の車の人たちは、すでに下りているようだが、シルエットしか見えない。 車から降りて、すぐに後悔した。 寒い。 無意識に両手で身体を抱え込む。 …
星降る夜のキャンパス
第一セメスター:五月➃
「さっき話してたけど、今日は尾泉の方に行く予定だから、まずは適当な店でご飯食べてから、コンビニに寄るね」土屋さんは説明する。「尾泉なら、あの中華屋かな」上級生が言う。「もう、お決まりパターンだね」 助手席の人が言う。「あ、昴、音楽は?」 土…
星降る夜のキャンパス
第一セメスター:五月➂
「明日、有志観望会をしようと思います。行く人はこの後、前まで来てね」 金曜日、活動後のミーティング時に、教壇に立つ土屋さんは言った。「有志観望会?」 ひとり言で呟くと、前に座っていた先輩がこちらに振り向く。聞こえてたのか、と身が縮こまる。「…
星降る夜のキャンパス
第一セメスター:五月➁
履修登録も終わり、授業も本格的に始まっていた。 次の講義は、刑法。法学部の一年生は全員履修する必修科目なだけに、大教室で行われる。 教室の扉を開けると、ざわざわと人の声が届いた。私は、教室内を見回す。 大学生活が始まって一ヶ月以上立った今…
星降る夜のキャンパス
第一セメスター:五月➀
天文部に入部して一ヶ月経った五月。新歓ムードは抜け、本格的に活動が始まっていた。 天文部の活動は、火曜日と金曜日。イベントが近いと土日もあるみたいだ。 今年の新入部員は約三十人。全体で百人未満の部員数。部活動にしては多い方ではないのか。…
星降る夜のキャンパス
第一セメスター:四月➃
観望会当日。 大学近くにある神社がイベント会場だった。境内はほどよく広く、日の暮れた今は観光客もいない。 森林に囲まれたこの空間は、絶好の観望会場所だった。 鳥居前に土屋さんの姿があった。日の暮れた今日の彼は、黒ベースの衣装がより一層闇に溶…
星降る夜のキャンパス
第一セメスター:四月➂
食堂外の廊下にある自販機まで向かう。私は、顔を歪めたまま、ズンズン歩いていた。やつあたりだとは分かっている。でも一年前から楽しみにしていただけ、無性にイライラした。自分でもつかめない、よくわからない怒りの感情に支配される。レモンの強烈な炭酸…
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第一セメスター:四月➁
花見を終えた夕方。 赤く染まった空を見上げながら、帰路につく。「空、暗いね」月夜が唐突に呟く。「そりゃ、暗くもなるでしょう」私は、ため息を吐く。「だよね、もう十八時だもんね」 私は無言で月夜に顔を向ける。彼女は、いつもの無表情で空を見上げ…
星降る夜のキャンパス
第一セメスター:四月➀
「空、きれいだね」 ふと届いたその言葉に、顔を向ける。 女の子たちがスマホ片手に空を見上げていた。脇に新歓用チラシを挟んでいることから、おそらく私と同じ新入生だろう。 一日の行事を終えた夕方、ピンク色に染まる空は、確かにきれいだった。 無意…
星降る夜のキャンパス
入学前
頭上には曇天が広がっていた。灰色の空。今にも雨が降り出しそうな危うい様子だった。私はため息を吐く。梅雨の時期なだけ仕方ないものの、ついてないものだ。「帰るときには降るかぁ……」腕時計を見る。学部説明会まで、まだ一時間近くあった。周囲を見渡す…
星降る夜のキャンパス
星降る夜のキャンパス【完結】※R18
空好きの空が天文部で過ごした4年間の青春日記。(ヒューマンドラマ/約200,000文字)※2023.06.26初公開
星降る夜のキャンパスR18,ヒューマンドラマ,天文部,学園,恋愛,星降る夜のキャンパス,灰葉大学,虹ノ宮市,部活動,青春